私がこの世界に係わるようになったのは、今から30年前、ちょっとした出来事が縁で、演劇研究所に行くことになってからです。そこで私は先生に出会い、そして表現の世界に出会いました。
先生が私の前に繰り広げてくれた表現の世界は、21歳の私にとって驚異と感動の連続でした。楽しくて、楽しくて・・・・授業時間だけではなく、休日も稽古場に通っていました。何より励みになったのは、自分の可能性に気付かされた事です。
少々自分に絶望しかかっていた私は、先生の一言一言、一挙手一投足に心が震えました。私でも出来る、私にも出来る・・・・私なら出来る。私は自分でもわかるほど変わっていきました。
あれから30年、12345あの思いが忘れられず、未だに舞台を走り回っています。
人は皆、変わりたいと思っています。それも好く変わりたいと思っているはずです。そして、その可能性を信じています。それが若さというものだと思います。若さは自分の無限の可能性を信じる心とも言えると思います。
可能性の後ろには、いつも不安が張り付いています。だから、自分の可能性を探る事は、とても不安なこと、なのです。不安との戦いは一人で戦わなくてはなりません。
今の日本は音楽で溢れ返っています。演劇、映画、テレビドラマ、etcが毎晩何本も流れています。でも、一体どのくらいの音楽が、演劇が人々を慰め、元気付けるチカラを持っている事でしょうか。
私たち舞台人にとって目標とするのは、人々を自然に慰め、元気付ける舞台だと思います。いい舞台はそのチカラを持っています。それに一歩でも近づくような演劇を目指しているのです。